2011.12.07
生きていればこそ

新明解国語辞典第7版が先日発売されました。
この辞典は語釈や用例に独特の表現を用いており、コアなファンが多いので有名です。
毎回楽しませてくれるのが「恋愛」の語釈。

 

【恋愛】
特定の異性に対してほかの全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。

 

恋愛真っ最中の人々にとっては、如何にもというところでしょうか。
相手の言葉や行動に一喜一憂し、幸せの骨頂にあるかと思いきや、悲しみのどん底に突き落とされた気分になる・・。
こんな苦しい思いをするくらいなら恋愛しない方がよかったと後悔したり。

 

しかし恋愛も失恋も生きていればこそ。

 

村上春樹の小説「ノルウェーの森」の主人公の青年は、事情があって長く会えない恋人に宛てて、何通も手紙を書きます。
彼女に自分の気持ちが伝わっているかもどかしく悩み、苦しみ、辛抱強く相手を想います。
が、彼女は自らの命を絶ってしまうのです。
一方的に絆を断ち切られてしまった青年の喪失感は予想だにできません。

 

総ての生命は自分の意志に関りなく『生』を与えられています。
そして与えられた命は、決して自分だけのものではないのです。

 

明日世界が滅ぶとしても、今日君は林檎の木を植える

 

小説家であった故・開高健が、写真家の高橋昇の娘さんに送ったこの言葉に
「生きる」という意味があるように思えます。

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